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本ページに掲載の情報は、2017年3月現在の内容です。

【第13回】「エクソソーム」~生命現象に深く関与する小胞の大きな役割~

今、「エクソソーム」という小さな物質が注目を集めています。細胞から放出される小胞で、約30年前に発見されました。発見当時は“細胞の不要物”と思われていましたが、研究の進展とともに、“細胞間の情報伝達”という重要な役割を担っていることが分かってきました。人体を構成する約60兆個の細胞は、この「エクソソーム」を介して相互に連携しコミュニケーションをとっています。

エクソソームって何?

細胞から細胞へと情報を伝達する役割を担っているのね!

エクソソームは、直径30〜150nm程度の小胞で、細胞から分泌され、細胞の外に放出されます。人体では主に、唾液や血液、尿、母乳等の体液中に存在しています。
エクソソームの中には、マイクロRNAやタンパク質などさまざまな物質が内包されています。これが、血液などを介して遠く離れた別の細胞にまで到達することで、細胞間の情報伝達が行われているものと考えられています。
エクソソームは、人の成長や病気の進行など、さまざまな生命現象に広く関与していることが次第に明らかになっています。

エクソソームによる細胞間情報伝達のイメージ

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一口メモ:エクソソームの大きさ比較

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エクソソームは、具体的にどんなふうに生命現象に関与しているの?

たとえば、ヒトの免疫力はどのように備わっていくのでしょうか?母乳には、乳児の成長を手助けするさまざまな栄養分に加え、免疫力を発揮する手助けをする成分も含まれています。近年の研究の結果、母乳に含まれているエクソソームの中には、免疫システムに関連するマイクロRNAが内包されており、これが乳児の免疫システムの発達に関与している可能性が示唆されています。
また、悪性化したがんは他の臓器に転移することが知られていますが、転移のメカニズムについては今まで大きな謎とされてきました。近年の研究では、がん細胞が自らエクソソームを放出し、これを介して転移先の臓器に信号を送り、がん細胞が転移しやすい環境を作り出し、その後に転移する、といったメカニズムが報告されています。

エクソソームの関与:乳児の免疫システム、がんの増殖・転移

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医療分野に貢献する将来の可能性は?

一滴の血液からさまざまな病気を発見できる日が来るかもしれない。

エクソソームの可能性

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細胞のわずか数百分の一の大きさしかない小さな小さなエクソソームには、さまざまな物質が内包されており、ここにはライフサイエンスにとって無限の可能性が秘められています。今後、多方面での研究が進展するとともに、ライフサイエンスの未来を切り拓く可能性の扉が、一つ、また一つと着実に開いていくことが期待されます。

コスモ・バイオは、エクソソームの基礎研究を幅広くサポートしています。

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