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用語集

この用語集は、当社事業をよりご理解いただくために作成しております。そのため、汎用的な用語の説明ではなく当社事業に即した説明の箇所もございますのでご注意ください。

あ行

RNAi(RNA干渉)

microRNAなどの短い二本鎖RNAが細胞内の特定のmRNA 注3)と結合することによって、遺伝子の機能を抑制(ノックダウン)する現象。

iPS細胞

皮膚の培養細胞に4つの遺伝子(Oct3/4,Sox2,c-Myc,Klf4)を導入することによって、体のどの部分の組織・細胞にも分化する能力を有した人工多能性幹細胞。iPS細胞研究は、京都大学の山中伸弥教授らが世界に先駆けて報告し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。

アミロイドーシス

繊維性を有する不溶性の異常タンパク質の一種あるアミロイドが脳、神経、心臓などの様々な臓器に沈着し、機能障害を引き起こす疾患の総称。

アンチエイジング

「抗加齢」、「抗老化」を意味し、健康の維持、加齢によって進む疾患の予防を目的に生活習慣病を中心に様々な分野での研究が進められている。「酸化ストレス」「糖化による老化の進行(AGE)」などをテーマとして、様々なアンチエイジングのバイオマーカーが提唱されるようになった。

遺伝子導入(トランスフェクション)

遺伝子の実験系を用いて目的遺伝子をある生物から抽出し、その生物とは別の生物の細胞に、その目的遺伝子を導入する。そして、その遺伝子が別の生物の細胞において有効な形質を発現できるように仕向けることを遺伝子導入(トランスフェクション)という。

遺伝子強制発現

遺伝子強制発現とは、通常は遺伝子が必要なときに必要なだけ発現(DNAに書き込まれている情報を読み込んでタンパク質を作ること)することによってさまざまな生命現象が成り立っているのに対し、人工的に通常の量よりも過剰に特定の遺伝子を発現させる、あるいは通常発現しない遺伝子を人工的に発現させること。特定の遺伝子の機能を調べるあるいは利用する目的で行われる操作。

関連用語

in vitro

「試験管内の」という意味で、試験管や培養器などの中で体内と同様の環境を人工的に作り、ヒトや動物の被検物質と薬物等の反応を検出する試験のことを指す。

関連用語

in vivo

「生体内での」という意味で、マウスなどの実験動物を用い、生体内に直接被験物質を投与し、生体内や細胞内での薬物等の反応を検出する試験のことを指す。

関連用語

AGEs(Advanced glycation endproducts):糖化最終生成物

AGEsは糖とタンパク質の不可逆的化学反応(glycation)における糖化最終生成物の総称。AGEsは一種類だけでなく、生体内で起こる反応ごとに多くの種類が存在する。代表的なものにペントシジン、ピラリン、酸化ストレスと関連するとされるCML(カルボキシメチルリジン)、コラーゲンの糖化に特異的なCMA(カルボキシメチルアルギニンz)などがある。長期にわたる反応を伴うため、老化のバイオマーカーとして注目され、アンチエイジングの研究でも研究需要が高まっている。

エクソソーム

細胞から放出される直径30~150ナノメートル程の小胞で、多くの生物では主に唾液や血液、尿、羊水、母乳等の体液中に存在している。この小胞の表面には種々のタンパク質が存在し、内部にも様々な種類のタンパク質やmicroRNAを包含。エクソソームが細胞から放出され、体液を介して移動し他の細胞(標的細胞)へ取り込まれてこれらのタンパク質やmicroRNAが機能することによって、エクソソームは細胞間の情報伝達の役割を担っていると考えられている。

関連用語

ELISA(エライザ)法

Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay法の略称。抗原となるタンパク質や化合物、あるいはそれに特異的な抗体をマイクロプレート等に固相化し、抗原抗体反応を利用して試料中の測定標的の濃度を検出、測定する方法の一種。

か行

核酸

遺伝子情報を伝える生体分子であるDNAとRNAを総称して核酸(Nucleic Acid)という。糖を核としてリン酸と塩基からなるヌクレオチドを単体に、ホスホジエステル結合で高分子化した物質である、核となる糖がデオキシリボースのものがDNA、リボースのものRNAである。RNAは糖の2位がフリーの水酸基であるため加水分解等の反応を受けやすく、熱的にも不安定で、環境下にあるヌクレアーゼ等の酵素での分解を受けやすい。糖の1’位’に結合している塩基は4種であり、DNAがアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、RNAではグアニンがウラシル(U)に置き換わっている。この塩基の配列が生体におけるタンパク質合成の基本情報であり、核酸の「一次構造」呼ばれる。近年では合成ヌクレオチドを利用した人工のDNAやRNAを構築する技術が発達し、任意の配列の核酸断片を自動合成してプローブを作製したり、改変ヌクレオチド(核酸アナログ)を導入して新たな機能を探索する研究も盛んに行われている。近年は治療薬への応用(核酸医薬)や遺伝子改変(ゲノム編集)などの重要性も高まった。

家族性タウオパチー

タウオパチーとは、タウタンパク質が細胞内に蓄積する神経変性疾患の総称。家族性タウオパチーは、遺伝性の要因によりタウタンパク質が細胞内に蓄積する。

褐色脂肪細胞

代謝活性、特に脂肪分解と脂肪酸酸化の能力が大きな細胞で、哺乳類の頸部や肩甲部にある特殊な褐色の脂肪組織。余剰脂肪を直接熱エネルギーに変換し体温調節するための産熱器官と見られている。

幹細胞(ES細胞)

Embryonic Stem Cellの略称で分化直後の受精卵より取り出された細胞を培養して得られる。様々な細胞に分化できる「多能性」を有し、高い増殖能力を持つことから再生医療への応用が期待されている。一方で取り出す工程で受精卵を用いることから、生命倫理上の問題も指摘されており、研究進行のネックとなっている。

グルコース

自然界に最も多く存在する代表的な単糖類で、人体にとっても重要な栄養素。日本語ではぶどうから発見されたためブドウ糖と呼ばれる。食べ物から摂取された糖質は、消化吸収を通して最終的にグルコースに分解され、エネルギー源として利用されている。脂質よりも早く分解吸収されるため、激しい運動で消耗した時に、素早くエネルギーを補給し血糖値を上げるのに適している。また、脳がエネルギー源として利用できるのもグルコースだけである。血液中では血糖として存在し、インスリンによって濃度がコントロールされている。

蛍光相関分光法(FCS)

蛍光物質の分子運動を調べるために用いられる方法。レーザー光を利用した共焦点光学系を利用し極微小な観察エリアを構築し、その中を出入りする蛍光分子の蛍光強度を測定するもの。
溶液や細胞内の分子は周りに制限するものがなければブラウン運動というランダムな動きをし、その動きは分子の大きさに依存した速度を持つため、このランダムな運動をしている蛍光分子が測定領域を出入りすることに起因する蛍光強度の増減をFCS測定により検出できる。その蛍光強度の増減を相関関数により表現することで、分子の動きや数といった情報を得ることができる。

蛍光相互相関分光法(FCCS)

FCSの発展型であり、2色の蛍光色素を利用する。FCSが1種類の蛍光色素の情報から分子の動きと数を調べることができるのに対して、FCCSは2種類の蛍光色素の蛍光強度変化の同時測定を行うことで2種類各々の分子に関する動きと数の情報に加え、2種類の分子間の相互作用を調べることができる。

血管内皮細胞

血管の内側を構成する一層の細胞です。血管の平滑筋の収縮・拡張を調節するほか、血小板の凝集を抑制し、血管内で血栓が形成されないように機能する細胞。動脈硬化をはじめとする循環器系疾患、癌疾患などの研究に使用されている。

関連用語

抗原

抗原は免疫細胞上の受容体と結合し、免疫反応を惹起する物質の総称をいう。細菌やウィルス等簿病原体をはじめ人為的に投与されたタンパク質、環境物質などが含まれる。タンパク質等の検出や機能解析に用いられる人工的な抗体は動物等に抗原を接種して作製されるが、近年は合成技術の発展により、特定の配列を有した合成ペプチド、改変ペプチドやハプテン結合させたタンパク質以外の小分子、合成核酸なども抗原として用いられ、応用範囲が急速に広がっている。

酵素

生体内では様々な化学反応により恒常性を保っており、その反応を触媒する物資を酵素いう。酵素には作用対象となる物質(基質)に特異的に作用する選択性(基質特異性)があり、目的の反応のみを触媒する。酵素は様々な内的あるいは外的要因により変性して活性を失ったり、基質に対する阻害を受けたりするとその機能性が低下し、疾患へと結びつくため古くから病態の原因究明における重要な研究ターゲットとなっていた。タンパク質を特異的に分解するプロテアーゼやリン酸を介したエステル結合を切断するホスホジエステラーゼ、基質に対して発色反応を触媒するペルオキシダーゼ等はタンパク質の検出や構造解析、DNAやRNAに作用するポリメラーゼ、ヌクレアーゼはPCRや組み替え遺伝子の作製等分子生物学の研究ツールとして広範に利用されている。

抗体

生体には外部から侵入した異物を排除する防御するための免疫システムが備わっており、特定のタンパク質等の異物(抗原)を特異的に認識して結合、排除するためにB細胞より産生されるタンパク質を「抗体」という。その本質は免疫グロブリン(Ig)であり、Y字型の4本鎖構造を取っている。Igはその定常領域の構造によってIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種に分類され、そのうち7割はIgGで占められている。抗体分子(特にIgG)は特定の構造を持ったタンパク質等と選択的に結合するため、動物等に免役して人工的に作られた抗体は生体分子の検出や同定、機能阻害(中和)等の用途で創薬を含むライフサイエンスにおける不可欠なツールとなっている。

関連用語

コンパニオン診断薬

コンパニオン診断とは、医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。ここで使われる薬剤をコンパニオン診断薬という。反応性を治療前に検査する目的から、通常の臨床検査薬とは区別される。

さ行

再生医療

幹細胞等を用いて不全を生じている臓器、組織等を再生し、その人体機能の回復を目指す医療技術。再生に用いられる細胞としては幹細胞の一種である受精卵由来のES細胞や人工的に作られた万能分化細胞であるiPS細胞があり、再生医療の臨床応用のための開発研究が精力的に行われている。

サイトカイン

免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質の総称。細胞間伝達・細胞増殖、細胞死および分化や、癌・エイズ・自己免疫疾患などが関与する免疫システムに影響し、広く研究されている。

細胞株

細胞株とは、生体から単離した細胞や遺伝子に何らかの手を加えた細胞が、その性質を保ったまま長期間にわたって安定的に増殖・培養できる状態になったもの。

CD44v8-10

CD44は、ヒアルロン酸をリガンドとする接着分子で、その一部分の構造が少しずつ異なる複数のCD44v(バリアント)が存在する。そのうちCD44v8-10はがん幹細胞において高頻度に発現していることから、近年、がん幹細胞のバイオマーカーとして注目されている。

関連用語

GPCR(Gタンパク質共役型受容体,G-protein coupled receptor)

GPCRは7回膜貫通型の膜タンパク質で、細胞内にGタンパク質と呼ばれるタンパク質の結合部分を有する。このGPCRにリガンドと呼ばれるホルモン等の生理活性物質が結合することで、細胞外の情報を細胞内へ伝達し、多様な生理現象の調節を行っている。GPCRは疾患と関連している場合も多く、医薬品の研究開発のための主要な標的の一つとなっている。

初代培養細胞(プライマリーセル)

生体から分離した細胞を培養し、第1回目の継代を行なうまでの細胞。細胞は継代を繰り返すことでその性質が変化することがあるため、初代培養細胞(プライマリーセル)を用いることで、より実際の細胞に近い状態で実験することができる。

神経変性疾患

脳や脊髄で機能している神経細胞の中で、認知や運動に関与する神経細胞群が徐々に障害を受け、脱落していく疾患をいう。この疾患は特定のタンパク質の構造異常が原因であると言われ、本来は除去されるべきこうした分子が老化や細胞機能の障害などで神経システムに異常をきたす。神経変成疾患にはアルツハイマー病(AD)やパーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの難治疾患が含まれ、これらの疾患には特定のタンパク質のリン酸化や繊維化(AD:β-アミロイド、PD:α-シヌクレイン、ALS:TDP-43)が関与していることが示唆されている。

生活習慣病

「病気」とは古来より病原微生物に起因する感染症を指すものが大半であったが、その後癌や脳卒中、心臓病など加齢や食生活、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣と密接に関与する疾患が死因とほとんどを占めるようになり、「生活習慣病」(古くは「成人病」という概念がクローズアップされるようになり、その予防、治療や病態機序の解明などライフサイエンスの研究においても重要な位置を占めるようになった。動脈硬化性疾患(心筋梗塞、同高速)や糖尿病は食生活な運動など、性格習慣に対する密着度が高く、研究の過程で酸化ストレスやAGEなど、多くのバイオマーカーが提唱されている。これらは創薬分野や焼き脳性食品の開発研究にも応用され、近年は腸内フローラの強い関与が示唆されていることから、マイクロバイオムの解析研究へと応用範囲が広がった。

セルソーター

細胞、微生物、ラテックスビーズ等の粒子(0.3-40μm)を光学的に測定し分離する装置。ここではがん幹細胞を分離するために用いる。セルソーターは、医学分野での利用価値も高く、広く研究に使用される研究機器である。

セルベースアッセイ

生物活性を測定するバイオアッセイの中で、細胞を用いて測定するものをセルベースアッセイという。創薬研究の分野では薬効作用を持つ標的物質を対象となる細胞株と共存させて、その細胞に対する薬効の評価に用いられ、薬剤に対する安全性等、より生体に近い状態での情報を得ることができる。

線維化タンパク質

アルツハイマー病などにおいてタウタンパク質は病的な凝集をおこし不溶性線維を形成する。このような状態のタンパク質を線維化タンパク質と呼ぶ。パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)も特定のタンパク質の繊維化変成が原因と言われている。

組織切片

組織切片(FFPE組織切片)は、手術等で得た組織片を防腐のためホルマリンで処理し、パラフィン(蝋)で組織を包埋した組織片の塊(ブロック)を作り、3~4μmの厚さに薄切してスライドガラスの上に乗せてパラフィンを除く作業を経て作製する。この方法で作った標本(組織切片)は、適切な管理で長期間の保存が可能。組織切片の中の特定の分子を検出することで研究・診断を行う。

関連用語

た行

タウタンパク質

タウタンパク質は神経細胞の軸索に局在して、軸索内の微小管の安定化に寄与していることが知られている。認知症の6割以上を占めるアルツハイマー型認知症は、老人斑と呼ばれるアミロイドβタンパク質の蓄積と、線維化したリン酸化タウタンパク質の細胞内蓄積による神経原線維変化(タウ病理)の出現により定義される。タウタンパク質がなぜ線維化してしまうのかはよくわかっていない。

糖尿病

血糖値を制御するインスリンの機能不全により、血液中のグルコース値(血糖値)が上昇する疾患をいう。血糖値が高いままで長期間が経過すると血管の損傷を引き起こし、心臓病や失明、腎不全など様々な重篤合併症を引き起こす。糖尿病にはインスリンの分泌不足に起因する「I型糖尿病」と、主にインスリンが効果を発揮できない状態、すなわちインスリン抵抗性に起因する「II型糖尿病」に大別される。特に後者は食生活や運動、肥満等生活習慣が強く影響するとされ、生活習慣病のひとつとして治療、診断のみならず、予防に見地からも研究ニーズが高まっている。

ドラッグ・ディスカバリー

疾患に薬効作用のある薬剤を発見、設計するプロセスを「創薬」といい、分子生物学や生理学に基づいた薬物候補の薬効機序の特性を科学的に裏付け、発見する手法をドラッグ・ディスカバリーと称する。創薬研究のプロセスは①標的物質の同定(構造決定)②標的物質の合成③機能の特徴付け④薬効のスクリーニングとアッセイの工程を踏み、ここで有用性が認められた標的物質が前臨床試験の開発へと進む。創薬標的となる化合物は「リード化合物」と呼ばれ、植物や微生物のような天然物や、人工の合成物から発見されるものに大別される。

ドラッグ・リポジショニング

安全性と体内動態が実績によって既に確認されている既存のある疾患に有効な治療薬から、別の疾患に有効な薬効を見つけ出すこと。創薬研究において機知の薬剤を未知のターゲットへ応用する場合、すでに安全性や薬物動態の試験が行われているため、これらの過程をスキップすることができ、開発機関や研究開発コストを大幅に削減できるというメリットがある。近年では新規の感染症、特にウィルスに起因する疾患の治療において、他疾患で使用されている既知の薬剤に対するドラッグ・リポジショニングの重要性が論じられており、研究ニーズも高まっている。一方で新たな疾患への応用に対する新規の副作用の可能性も否定できない。

な行

内臓脂肪細胞

脂肪粒に富む動植物の細胞を一般的に脂肪細胞と呼ぶが、中でも内臓周辺に存在して脂肪を貯蔵する細胞を内臓脂肪細胞と呼ぶ。内臓脂肪の過剰蓄積が、メタボリック・シンドローム発症の原点となっている。

II型糖尿病

遺伝要因や栄養過多の食生活などが発症の原因といわれていて、インスリンが分泌されていても正しく機能しなかったり、インスリンの分泌量が少なくなったりすることで高血糖となり、高血糖状態が続くと様々な障害が起こる疾病。糖尿病患者の約95%がこのII型糖尿病である。

は行

バイオマーカー

さまざまな疾患の進行度、存在を示す指標となる生体分子等。元来は薬学分野で用いられていたが、分子生物爆の発展により、「ゲノミクス、プロテオミクス技術、または画像技術を用いて発見されうるマーカーの一部」と定義が拡張されている。疾患の早期診断や予防医薬品のターゲットにおける識別や反応の確認などの応用されており、ライフサイエンスの研究においても重要な用語のひとつになった

破骨細胞

骨組織は骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)の活性のバランスにより恒常性を保っている。破骨細胞は骨組織の吸収機能を持つ大型の細胞。骨組織は生体のカルシウム等の無機イオンを貯蔵しているが、必要なたびに破骨細胞がこれらのイオンを骨組織から血液に供給している。

PCR

遺伝子の検出に用いられる手法のひとつで、Polymerase Chain Reactionの略称。目的となる微量な遺伝子断片を相補的な配列を持つプライマーとDNAポリメラーゼを用いてサイクル反応で指数関数的に増幅し、検出する手法である。一般的にはDNA断片の増幅に用いられていたが、RNAの検出にはRNAをDNAに転写する逆転写酵素(RT)を用い、cDNA合成後サイクル反応で増幅するRT-PCRで検出が行われている。

病原微生物

病気を引き起こす生物を「病原体」といい、その中で微生物に分類されるものを「病原微生物」と称する。病原微生物は真核生物に属する真菌や原虫、原核生物に属する「細菌」、緯線情報を伝達する核酸(DNA、RNAのいずれか)とカプシド、エンベロープタンパクからなり、核を持たない非細胞の「ウィルス」がある。細菌とウィルスは細胞の有無や構造の違いから大きさが異なる。細菌がDNAとRNAの双方を核内に有し、宿主に感染後細胞分裂により自己増殖するのに対し、DNAまたはRNAの一本鎖しか有さないウィルスは宿主の細胞に侵入し、その細胞内の転写、タンパク合成システムを盗用して複製、増殖を行う。従って治療に関しても、ターゲットとなる薬剤は全く異なる。

関連用語

フローサイトメーター

細胞、微生物、ラテックスビーズ等の粒子(0.3-40μm)を光学的に測定する装置。粒子を流体中に整列させ、そこにレーザー光を照射することで、各粒子の大きさ、構造、蛍光を測定する。複数のレーザー光と複数の検出器を搭載することによって、複数の抗体による検出が可能。医学分野での利用価値も高く、広く研究に使用されている。

ペプチド

アミノ酸が2残基以上ペプチド結合で繋がっているものの総称。一般的にアミノ酸数がおよそ100残基以下のものをペプチド、それ以上の長鎖のものをタンパク質と呼ぶ。タンパク質は様々な生体機能を有し、糖質や脂質とともに生命の恒常性を維持するための重要な役割を担っているが、短鎖のペプチドの中にも配列によっては機能性を有するものがある。合成技術の発展に伴い、任意の配列を有したペプチドを効率的に作成することが可能となり、タンパク質の部分配列を有する機能性合成ペプチドはタンパク質の機能解析、さらに創薬研究やサプリメント等の開発研究にも役立っている。合成ペプチドはハプテンと結合して高分子化することにより抗原性を持たせることができ、特定のタンパク質の特定配列を認識する抗体の作製が可能となる。さらにプロテオーム技術によって様々な配列の抗体をマルチに作製する技術も確立され、ペプチドはライフサイエンスの多くの分野において欠かせないツールとなっている。

関連用語

ま行

microRNA(マイクロRNA)

生物の発生の特定段階に特異的に作られ、mRNAと結合してタンパク質の合成を制御する。mRNAなどと比べて非常にサイズが小さく、microRNAと呼ばれる。microRNAは癌をはじめ多くの疾患の発症と進行に関与する物質とされており、タンパク質だけでは説明できない病態メカニズムの鍵となるものとして核酸医薬をはじめとする創薬等の研究ニーズが急速に高まっている。さらに遺伝子機能抑制を応用した疾病治療、がん診断・予後マーカーとしての可能性も期待される。

ミクロソーム

ヒトや動物の組織から、あるいは培養した細胞から調製した画分で、主に小胞体から成る。細胞中の酵素の多くがミクロソームに存在する。特に肝臓のミクロソームには薬物代謝酵素の多くが含まれるため、製薬会社の薬の開発や安全性評価の道具として不可欠である。

メタボリック・シンドローム

生活習慣病の三大要素(高血圧・糖代謝異常・脂質代謝異常)と内臓脂肪蓄積型肥満等が複合した複合生活習慣病として、WHO(世界保健機関)や厚生労働省等をはじめ一般社会においても警鐘が鳴らされている。メタボリック・シンドロームは動脈硬化を促進させ、死亡率の上位を占める心筋梗塞や脳梗塞等を引き起こす要因であることが認知されるようになった。日本では「特定健康診査・特定保健指導」のガイドラインとして取り入れられ、また生活、特に食生活に密着した病因であることから臨床医学のみならず基礎医学、生命科学、化学、農学など総合的な分野で研究が推進されるようになった。

mRNA(メッセンジャーRNA)

遺伝子情報をもとにタンパク質が細胞内で合成される際に、遺伝子の情報を運ぶ役割を演じる。

関連用語

免疫

生体における防御システムをいう。侵入物を早期に排除する非特異的な「自然免疫」と、高等生物のみが有し、免疫グロブリン(抗体)が特異的なターゲットに作用し、排除する「獲得免疫」に大別される。抗体が反応する標的物質(抗原)にはその生体が異物と認識する病原体などの非自己物質やがん細胞などの異常細胞などがある。抗原抗体反応はその特異性からライフサイエンスや臨床医学、薬学等の様々な研究ツールとして応用され、動物等に免疫を誘起して得られた抗体用いて、未知のタンパク質や疾患に関与するマーカーなどの検出や同定、機能解析が行われている。

関連用語

や行

予防医学

従来の「疾患の診断、治療」という医学分野に対し、その原因を究明して「病気にかからないよう予防する」ことをテーマにした分野。食生活などライフスタイルに密着した「生活習慣病」がクローズアップされるにつれて、脳梗塞や心筋梗塞等の死に至る病の予防の有用性も高まり、「老化を防ぎ、健康で長生き」をテーマに広範な研究が行われている。