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本ページに掲載の情報は、2015年9月現在の内容です。

【第10回】人に害をもたらす微生物
 ~この撃退に有効な「ワクチン」の研究~

200年以上前に誕生したワクチン。今、急速な進化を遂げつつあります。
病気には、遺伝子異常などによって臓器に何らかの疾患が生じるもの(がんなど)から、細菌、ウイルス、カビなどの微生物が体内に侵入することで発症する感染症など、さまざまなものがあります。今回は、感染症の予防に力を発揮する「ワクチン」を取り上げます。天然痘のワクチンが開発されてから200年以上が経過した現在、ワクチンは「予防医療」の要として、研究開発が急速に進んでいます。

そもそも、私たちのからだには優秀な「免疫システム」があるのよね?!

私たちの身の回りには目に見えない微生物が存在しています。こうした微生物が体内に侵入してくると、私たちのからだの「免疫システム」がはたらきます。まず、白血球などが“初期攻撃”を行います(=自然免疫)。次に、この微生物に関する情報がリンパ球に伝えられて抗体が産生され、この“集中攻撃”によって完全に排除されます(=獲得免疫)。
初めての感染では、獲得免疫がはたらくまでに1~2週間かかるため病気を発症してしまいますが、2回目以降では、初回の免疫記憶が残っているため、発病する前に微生物を撃退することができます。
このように、私たちのからだには優れた免疫システムが備わっていますが、この免疫システムをもってしても、病原性の高い微生物に感染してしまうと、重篤化したり、最悪の場合、死に至ることがあります。

免疫システムの概要

ピンチアウトで全体をご覧いただけます。

「ワクチン」は、私たちの「免疫システム」と関係があるの?

ワクチンは免疫システムの記憶力を利用したくすりで、病原性を低く抑えた微生物やその一部からできています。ワクチンを接種し、免疫システムに微生物の情報を事前に伝えることで、万一感染しても病気の発症を抑えたり、重篤化したりすることを予防します。
さまざまなワクチンの開発によって、私たち人類は、天然痘をはじめとした多くの感染症を克服してきました。
HIVのように、感染後、人の体の中でどんどん型を変化していくようなウイルスはワクチン開発が難しい感染症の一つです。しかしウイルス感染の仕組みの解明が進むことで、さまざまな感染症の治療に光明がさしつつあります。

「ワクチン」と「免疫システム」の関係

ピンチアウトで全体をご覧いただけます。

ワクチンの研究開発って今、どうなってるの?

ワクチンは、「予防医療」として、日本をはじめ世界各地で研究が盛んに行われているよ!

日本では、2016年度の研究重点項目の一つとして、エボラ出血熱やデング熱といった感染症のワクチン開発の予算拡大が決まったんだ。世界的に脅威となっているさまざまなウイルスが増加するなか、世界では、左下のグラフのように、ワクチンの開発・普及が拡大しているよ。

ワクチンは、「予防医療」として、日本をはじめ世界各地で研究が盛んに行われています。
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