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本ページに掲載の情報は、2015年3月現在の内容です。

【第9回】老化を加速させる「糖化」
 ~「抗糖化」・「抗老化」に向けた研究~

近年、「糖化」が老化の主要因のひとつであることが分かってきました。
そもそも「糖」は私たちが生きていくための大事なエネルギー源。「糖」が無ければ脳もからだも動きません。でも、摂り過ぎた余分な糖はからだのあちこちで悪さをします。生きていく上で必要不可欠である糖がもう一方では老化の主要因になっているのです。私たちのからだの中で、いったい何が起きているのでしょうか?

そもそも、糖はからだの中でどんなふうに使われるの?

三大栄養素の一つである炭水化物のことを、近年では「糖質」または「糖」と呼ぶことが多くなっています。糖質を含んだ食べ物(お米やパン、果物など)や砂糖を使用した食品を摂取することで、私たちはエネルギーとして使用したり、貯蔵したりします。でも、摂り過ぎは、生活習慣病を引き起こしたり、糖化促進リスクを高めたりします。

糖代謝の流れと疾病リスク

ピンチアウトで全体をご覧いただけます。

注:「糖化」のメカニズムは一様ではありません。糖代謝の流れの中で、糖質の過剰摂取等によって肥満や糖尿病などの生活習慣病になると、これが「糖化」を促進させる要因ともなります。

「糖化」って何? からだに悪いことなの?

「糖化」とは、タンパク質と糖の結合によっておこる反応で、これによりタンパク質が変性してAGEsという物質ができます。この糖化は体内でも起こっていて、糖化によって蓄積する体内のAGEsが老化を進める物質であることがわかってきました。私たちのからだは、約70%の水分を除くと、その3分の2程度がタンパク質でできていますから、からだのあちこちで糖化が起こりAGEsの蓄積を招く可能性があります。そして、AGEsが体内のさまざまな場所に蓄積すると、やがてタンパク質が本来の役割を果たせなくなり、これが多くの疾病の要因となる、ということが最近の研究で次々と明らかになっています。

糖代謝の過程で糖化が起こるしくみ

ピンチアウトで全体をご覧いただけます。

「糖化」でAGEsがたまると、どうなるの?

AGEs(終末糖化産物)は、からだにこんな影響を与えている

AGEs(終末糖化産物)がからだに与える影響

AGEsは「バイオマーカー」としても使用が注目され、研究が進んでいます。

バイオマーカーとしての使用が注目されている主な疾患:腎不全、骨疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、アルツハイマー病、神経変性疾患、統合失調症 など

AGEsが疾病に関係しているということは、体内のAGEsの量を調べれば疾患の有無や状態が調べられるということ。糖尿病合併症や加齢現象のバイオマーカーとしての可能性が研究されています。

Q「バイオマーカー」って何?
Aからだの状態を客観的に測定・評価するための指標。疾患の診断、疾病の経過の予測、特定の治療効果の予測、薬剤の作用診断など、さまざまな目的に対応した指標がある。たとえば、血糖値やコレステロール値は生活習慣病の指標として代表的。近年では、DNAやRNAに関連した指標の発見も相次いでいる。

まだ研究が始まったばかりだけど、新たな可能性が見えてきそうなんだって。

研究によって、AGEsがからだに与える影響が分かってきた(上図)。製薬会社や化粧品・食品会社などのさまざまな研究機関で、糖化や老化を防ぐ技術や成分の開発をめざして、 AGEsの研究が積極的に行われている。
AGEsによって疾病が起こるメカニズムやAGEsを分解するメカニズムは、まだまだわからないことだらけだけど、これからどんどん解明されていけば、さまざまな疾病治療の可能性も見えてくるかもしれない。

コスモ・バイオは、抗糖化研究用試薬の開発・販売を積極的に行っています。
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