IR情報
本ページに掲載の情報は、2014年3月現在の内容です。
【第7回】がん幹細胞 ~がんの根治に向けた新たな研究~
「がん幹細胞」の撃退により、根治(再発・転移を根絶)の期待がふくらんでいます。
近年、がん(悪性腫瘍)の再発や転移に深く係わっていると考えられる細胞が発見されました。「がん幹細胞」です。これによって“がん研究”はさらに加速し、“がんの根治”に向けた治療法の開発が大いに期待されています。
日本人の2人に1人が発症すると言われてるけど、そもそも、がんってどんな病気?
がんは、遺伝子の異常によって生じる病気です。社会の高齢化に伴ってがん患者数は今後も増加が予想されています。
現在、がん治療には下の3つがあります。代表的な治療法である抗がん剤は、“がん細胞=増殖が早い”という特性を利用して、増殖の早い細胞だけを攻撃することができる薬物です。
日本では、がんの研究が盛んに行われており、未解明の部分が次第に明らかになってきています。

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「がん幹細胞」の発見って、そんなにすごいことなの?
がん組織の中に、急速に増殖するがん細胞以外に、一見眠っているような細胞が発見されました。この細胞は、下のような特徴を持ったがん幹細胞であることがわかってきました。がん細胞を生み出している“がんの根源”の発見です。
がん幹細胞はがん細胞と性質が異なるため、抗がん剤の効果があまり見込めません。そこで、がん幹細胞を標的とした新たな治療法が盛んに研究されています。

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「がん幹細胞」の撃退法が見つかれば、がんは不治の病ではなくなるってこと?
がん幹細胞の発見以来、がんの根治の研究が世界中で非常に活発に行われています。中には、5年から10年でがん幹細胞を撃退する治療法の実用化を示唆する研究者もいるほどです。
新しい治療法が確立されれば、再発や転移に苦しむ患者さんの数も劇的に減少し、やがて日本人の死因“第1位”、“不治の病”といったレッテルが過去のものとなる日も、そう遠くないのではないでしょうか。

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がん幹細胞を撃退する、代表的な研究をひとつ紹介します
身近な薬が、がん幹細胞の撃退に効果を発揮することを発見。臨床試験もスタート!

がん幹細胞は、酸化ストレスや抗がん剤治療に対して高い抵抗力を持っています。これは、がん幹細胞の表面タンパク質「CD44v」がシスチントランスポーター「xCT」(抗酸化物質の元を取り込むポンプ)を安定化させ、この働きによってがん幹細胞内に抗酸化物質が蓄積しているからだとわかってきました。この「xCT」の働きを阻害する薬として、関節リウマチや潰瘍性大腸炎などに使用されているスルファサラジンが知られています。これを用いた動物実験を行った結果、腫瘍形成が抑制され、抗がん剤に対する感受性が高まりました。現在、スルファサラジンを用いた臨床治験がスタートしています。
コスモ・バイオは、「がん幹細胞」の研究に役立つ試薬を持っているの?

「CD44v」は、がん幹細胞の識別にマーカーとして役立っています。コスモ・バイオでは、昨年より「CD44vを識別する抗体」を世界に先駆けて販売し、大変ご好評いただいています。この試薬を使って、がん幹細胞を識別し「セルソーター(細胞を生きたまま回収できる装置)」で、がん幹細胞を集めることができます。この試薬によって、がん幹細胞に対する治療薬開発やがんの基礎研究の進展が期待されています。