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本ページに掲載の情報は、2013年3月現在の内容です。

【第5回】「アンチエイジング」を取り巻く基礎研究

歳をとらずいつまでも若々しくありたい、つまり長寿へのねがいは、むかしむかしの物語から語られてきた、人々の夢でもあります。歳をとらないことへの挑戦。いま、科学の世界では、「老化」に対してどのようなアプローチがなされ、今後どのような可能性があるのでしょうか。

老化ってどうしておこるの?

病的老化を防ぐ取り組みが「アンチエイジング」

からだを構成する細胞は、分裂して増える一方で古くなったものは代謝されて消えていきます。でも、やがて細胞は分裂しにくくなったり、一定の回数まで分裂すると、もうそれ以上分裂できなくなったりします。こうして、からだの臓器や組織のはたらきが低下してしまう。これがすべてのヒトに起こる生理的老化
でもそれだけではありません。遺伝的要因や生活・環境要因などが複雑に絡み合って老化は進んでいきます。これが、病的老化。この病的老化を防ぐ取り組みが「アンチエイジング」です。

アンチエイジングってよく聞くけど、ほんとに老化を防ぐことなんてできるの?

できます。基礎研究の成果ですでに何が効果的かわかっているものもあり、いまも、からだのなかでどのようなしくみで老化が進んでいるのか、たくさんの基礎研究が進んでいます。病的老化ばかりでなく生理的老化だって、基礎研究によって克服できるかもしれません。

老化(病的老化)は、酸化ストレスやDNA損傷が原因で、最近では、タンパク質の糖化も原因だということがわかってきています。

病的老化の原因の例:酸化ストレス、DNA損傷、糖化)

ピンチアウトで全体をご覧いただけます。

リンゴをむいてしばらくすると茶色くなったり、年が経つと釘がさびたりするのとおなじようなこと(=酸化)がヒトの体内でも起こっていて、これが機能低下の原因のひとつ。肌の老化防止のためにできるだけ紫外線を浴びない(UVカット)ように注意したりもしますが、実は、糖(甘いものだけでなくごはんなどの炭水化物)の摂りすぎも、しわやたるみ、くすみの大きな原因なのです。
ライフサイエンスの基礎研究では、どうして老化が起こるのかの解明だけでなく、どうしたら老化を防ぐことができるかについても日々研究が進められています。

日々進んでいる基礎研究の一例

1. ハリ・ツヤのある若々しい肌をいつまでも!

AGE増加に伴う主な老化現象:肌のくすみ・しわ・たるみ、動脈硬化、骨粗しょう症

最近の研究で注目され始めているのがタンパク質の「糖化」です。糖を過剰に摂取するとタンパク質に糖が結合し、その結果、「AGE」という老化を促進させる物質が増えてしまいます。ヒトのからだの血管や筋肉、肌などはタンパク質でできていて、AGEが増えるとこうしたタンパク質でできた組織がどんどん変性・劣化してしまうことが解明されています。できてしまった「AGE」を分解するメカニズムは今のところはまだ分かっていませんが、今後の基礎研究によって明らかになる日が来るかもしれません。

2. 長寿遺伝子をコントロール?

「サーチュイン」ということばを聞いたことがあるでしょうか?長寿遺伝子とも呼ばれる、ヒトを含むほとんどの生き物がもっている遺伝子です。この遺伝子は普段は働いていませんが、これを活性化させることで「老化」を遅らせ、寿命をのばすことができるということが最近の研究結果としてたくさん報告されています。サーチュイン遺伝子はどのように機能し、どう制御されているのか?解らないことはまだまだたくさんありますが、現在、この遺伝子を活性化させるくすりの研究開発が盛んに行われています。

3. iPS細胞で夢の治療が実現?

古くなった臓器・病気の臓器をiPS細胞で再生し老化をリセット!

老化(生理的および病的)によって低下した臓器や組織の機能は、本来は元に戻すことができません。それが従来の医学の常識でした。しかし、老化した臓器や組織をiPS細胞の技術で再生させれば、老化の進行をリセットできる可能性があります。iPS細胞では、皮膚や血管のほか、心臓や脳の神経細胞の再生などについても活発な研究が行われています。長寿の人からつくったiPS細胞を調べることで、長寿の秘密を解き明かす日も来るかもしれません。

アンチエイジングをテーマとした基礎研究でも、コスモ・バイオの商品が活躍しています。
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