サステナビリティ

農学部で学ぶ生命科学実験講座

2006年度 第3回 公開講座応援団

岡山大学農学部 公開講座レポート

2006年8月1日~2日の二日間、岡山大学農学部にて岡山県下の高校生と教師の方々を対象とした公開講座「農学部で学ぶ生命科学実験講座」が開催されました。 自然界には、知的好奇心をくすぐるものがたくさんあります。その中で、最も身近でありながら、わからないことだらけなのが「タンパク質と遺伝子(核酸)」です。そこで、本公開講座では、生命活動の中心を担うタンパク質と遺伝子を実際に見たり触ったりして、その分子の成り立ちや立体像をパソコン上のグラフィクスによって観察しました。 農学部で行われている研究の一端を自ら体験することで、知的好奇心はくすぐられたのでしょうか?その様子をご紹介します。

実験1

耐熱性αアミラーゼのでんぷん分解反応

温泉から分離された好熱性細菌 Bacillus stearothermophilus の培養液からでんぷん分解酵素アミラーゼを精製し,その作用を観察しました。アミラーゼは高校理科で学ぶ代表的な酵素ですが,好熱菌の酵素は通常の酵素が失活するような高温でも働くことを目で見て実感していただきました。

溶液の変化を観察しながら慎重に操作します。

力を合わせて実験!

アミラーゼ反応の結果をみんなで観察。

こんな風に見えたかな??

実験2

ゲノムDNAをガラス棒で巻き取る実験

生命活動の中心的存在である「タンパク質とDNA」。それは、どのような性質を持ち、どのような形をしているのでしょうか?
ゲノムDNAには生命活動に必要な遺伝情報が書き込まれています。DNAは4種類の塩基(A,T,G,C )配列の3つ組コドンで1つのアミノ酸を指定します。そのアミノ酸の組み合わせでタンパク質が決定されるのです。
ここでは、DNAを細菌から抽出して実際に取り出す実験に挑戦です。
DNAを取り出すために、細胞の周りの細胞壁・タンパク質を分解する色んな試薬を加えていきます。最後にアルコールを加えてゆっくり混合すると・・・チューブの中に「白い糸」のようなものが現れてきました!
それが“DNA”の正体です。そのDNAをガラス棒で慎重に取りだすと、DNAの精製完了です。
力を合わせて取り出したDNAを観て思わずガッツポーズです。

細胞の成り立ちとDNAの抽出操作の説明を受けます。

生命科学に関心をもつ一般市民の参加者。

ほらほら,白い糸が巻き付いてきた....。

チームワークで巻き取った遺伝子。

実験3

タンパク質のコンピュータグラフィックス操作入門

生命活動の鍵を握る「タンパク質」。そのタンパク質は20種類のアミノ酸から形成されています。タンパク質の構造は、アミノ酸配列(アミノ酸の選択と長さ)によって決定されます。
この実験では、実験1でも観察したアミラーゼの構造をコンピュータグラフィックで表示することに挑戦しました。
まず、タンパク質構造のデータベースで「アミラーゼ」を探します。
アミラーゼのファイルを開くと・・・とてもきれいなタンパク質の構造図が現れます。
拡大したり、回転したり、移動させたり・・・色んなツールを駆使して様々な配置を観察しました。

主催者報告

近年, 中学校・高等学校の理科教育において実験実習を重視した取組みへの関心が高まっており,生徒達が楽しみながら取り組める新たな実験実習教材の開発が求められています。大学の研究室には,高校生に新鮮な感動を提供できる研究材料が豊富にあります。農学部で行われている研究の一端をみずから体験することで、中高生の進路選考や一般市民の方々の生命科学への理解の促進に寄与することが出来たと確信します。(岡山大学農学部 田村 隆 先生)

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。