サステナビリティ

夏休み子供サイエンス2005 『化学とバイオの実験室』

2005年度 第2回 公開講座応援団

大分大学 公開講座レポート

夏休み子供サイエンス2005 『化学とバイオの実験室』

平成17年8月10日(水)、大分大学工学部で、小学生の子供たちを対象にした、夏休み子供サイエンス2005『化学とバイオの実験室』が開催されました。
理科の実験が大好きな子供たちとお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。集まった人数は、なんと1800名以上!16種類の様々なテーマには、サイエンスの不思議と楽しさがいっぱい詰まっています。参加したみんなは、実験を通してサイエンスに対する興味がますます深まったようでした。

小学生の子供たちを対象にした、夏休み子供サイエンス2005『化学とバイオの実験室』 様々なテーマでサイエンスを体験した子供たちの様子を、一部ご覧ください。 「なぜ?」というサイエンスの体験は、子供たちの脳にしっかり焼き付いたことでしょう・・・。

プログラム
テーマ・担当の先生 実験内容
☆を追え・・・君も迷?探偵!
堤一博 先生(県警科捜研)
親子でも双子でも、絶対に他の人とは違う『指紋』いろいろな方法を使って、指紋採取にチャレンジ!!
しょうのう船とぽんぽん船をつくろう
安田幸夫 先生(日本文理大)
液体分子の力や水蒸気の力を利用した、『しょうのう船』と『ぽんぽん船』さぁ、進水式です!ちゃんと進むかな??
スーパーボールをつくろう
早野総和 先生(日本文理大)・新井保彦 先生
(大分大工)
ぽんぽんはねる『スーパーボール』2つの液体を混ぜ合わせて魔法の粉を加えると・・・?
段ボールバズーカで遊んでみよう
永岡勝俊 先生・西口宏泰 先生・伊藤和子 先生(大分大工)
段ボールバズーカで、遠くの的を吹き飛ばせ!!
アイスクリームをつくろう
中島俊男 先生・芝原雅彦 先生
(大分大教育福祉科学)
バニラにグレープにピーチ味★
大好な『アイスクリーム』づくりに挑戦!!
自分だけのキャンドル
加治俊夫 先生・岩本充弘 先生(大分高専)
色も形もオリジナル。
赤・紫・緑など、 『自分だけのキャンドル』で不思議な色の光を楽しもう!!
入浴剤をつくろう
石川雄一 先生・信岡かおる 先生(大分大工)
炭酸ガスがシュワーッと出る『入浴剤』楽しい色と香りで、今日のお風呂が楽しみです!
人工なめくじをつくろう ~塩で退治しよう~
濱中良志 先生(大分大医)
ぬるぬる・ぷにぷにの『人工なめくじ』“浸透圧”という力を利用して、塩で退治するぞ!
液晶をつくってみよう
氏家誠司 先生(大分大工)
テレビの画面にも使われている『液晶』2つの液をゆっくり混ぜ合わせると・・・??
ブロッコリーからDNAを取り出してみよう
酒井謙二 先生(大分大工)
おうちにある食器用洗剤や食塩を使って命の設計図『DNA』 が取りだせるって本当??
CD-ROMでにじ色をみよう
井上高教 先生(大分大工)
光を分ける道具を作って、ホタルの光・空の青色・・・いろんな光を見てみよう!!
植物から紙をつくってみよう
通阪栄一 先生・國分修三 先生(大分大工)
使い終わったものでも、工夫次第で再利用★牛乳パックや植物から、はがきをつくるリサイクル活動を体験します。
プラスチック消しゴムをつくろう
大賀恭 先生・高橋徹 先生(大分大工)
いつも使っている『消しゴム』
好きな色と形の消しゴムを使えば、夏休みの宿題も楽しくできるかな?
化粧品をつくろう
天尾豊 先生(大分大工)・定金香理 先生
(大分看護大)
『化粧水』と『美肌水』でしっとり肌をゲット♪
好きな香りでつくってみよう!!
オリジナル石けんをつくろう
倉内芳秋 先生・熊迫博文 先生(大分大工)
“油”から“石けん”??
古くなった食用油をリサイクルして、きれいな地球を守るぞっ!!
ウインドカーであそぼう
濱川洋充 先生(大分大工)
扇風機の風に逆らって進む不思議な車、『ウインドカー』
空気の流れの不思議を体感して、その謎解きに挑戦です!!

☆を追え・・・君も迷?探偵

堤一博 先生(県警科捜研)

この実験では、いろいろな方法を使って『指紋』の採取にチャレンジします。『指紋』は、手のひらから出る汗が指表面の凹凸の形に写された、“インクいらずのスタンプ”のようなもの。本当の仕事で指紋採取をしている堤先生の指導で、まずは自分の指紋の観察です。
自分の指紋を確認したら、スライドガラスに付けた指紋を浮き上がらせてみましょう。瞬間接着剤の“シアノアクリレート”という成分と指紋に残る水分が反応して・・・。指紋が白くくっきりと浮かび上がりました。指紋中の水分の次は、汗の成分のアミノ酸がターゲット。紙に付けた指紋に“ニンヒドリン”という溶液を塗って温めると、今度は紫色に指紋が浮かび上がってきました。
最後はテレビドラマでよく目にする方法。たんぽぽの綿帽子のような“ダスター刷毛(はけ)”とアルミの粉を使って、指紋を浮き上がらせます。アルミの粉をつけ過ぎたり、刷毛を使う時の力の入れ具合が分からなかったり、みんな真剣な顔つきです。

指一本ずつ、丁寧に指紋を採っていきます。
この指紋採取用の紙は、実際に使われているものだそうですよ・・・!

指紋の種類は渦の様な“渦状紋”、 馬蹄形の“蹄状紋”、弓の形の“弓状紋”の3種類。同じ手でも、指によって違います。
「ぼくはどのタイプかなぁ?」

汗に残るアミノ酸と“ニンヒドリン”が反応して、じわじわ指紋が浮かび上がってきたようです。
「手のひらに汗なんてかいていなかったのになぁ?」

テレビドラマで見るのと同じ。
ウサギの毛でできた“ダスター刷毛(はけ)”で、ガラス瓶に付いた指紋を浮かび上がらせます。

スーパーボールをつくろう

早野総和 先生(日本文理大)・新井保彦 先生(大分大工)

身近にある材料を混ぜ合わせて、ぽんぽんはねる『スーパーボール』をつくって遊ぼう!!というのがこの実験のテーマ。
「ちょっと危ない液を使うので、かゆくなっても手でかかないように。」と先生から実験の注意をよ~く聞いて、さぁ実験開始です。まずは、お母さんが普段使っているせんたくのり(ポリビニルアルコール)に好きな色をつけて混ぜまたものを、水ガラスに加えます。次に、”魔法の粉”である食塩(塩化ナトリウム)を加えると・・・あら不思議!みるみるうちに固まってしまいました。これがなんと『ゴム』なのです。このゴムを手のひらでまる~く丸めたらスーパーボールの完成です。
はじめはどろどろだった液が『スーパーボール』になってしまい、みんなあっという間の不思議な化学の世界にびっくりの様子でした。

注意事項をよ~く聞いたら、『ゴムの原理』でスーパーボールをつくってみよう!

液を混ぜ合わせる表情は真剣そのもの。こぼさないようにしなくちゃ・・・。

固まって手のひらで丸めるのに一苦労。なかなか思うようにうまく丸くならないなぁ・・・。

自分だけのスーパーボールが出来たよ~♪
ちゃんとはずむかなぁ・・・ちょっと心配。 でも早く使いたいっ!

アイスクリームをつくろう

中島俊男 先生・芝原雅彦 先生(大分大教育福祉科学)

この実験では、二酸化炭素が固体になった『ドライアイス』を使って、アイスクリームをつくります。固まりのドライアイスが、そのまま“けむり”になる『昇華』という現象がポイント。『昇華』の時にドライアイスが周りの熱を奪うことによって、“アイスの素”が固まりだします!
まずはボールに牛乳と生クリームを入れてもらって、グレープ味やピーチ味のカルピス、飲むヨーグルトを混ぜたら、“アイスの素”の完成です。かき氷機で小さく砕いたドライアイスを少しずつ入れて、泡だて器でよぉ~くかき混ぜると・・・・みるみるうちにアイスクリームが出来上がりました。
楽しくっておいしいサイエンスの体験ができたようですね☆

固体から一気に気体へ
ドライアイス(二酸化炭素)の『昇華』という現象を利用したアイスづくりです!

グレープ・ピーチ・カルピス・ヨーグルト・バニラ☆
どの味にしようかなぁ・・・?
一番人気はグレープでした!

レシピを確認しながら・・・
固まってアイスになってくると、混ぜるのもちょっと大変。
でも、あっという間に固まってきておもしろいなぁ♪

さっそく味見♪
炭酸で舌がピリピリするけどおいしく楽しくできました。
次は何味にしようかなぁ・・・

入浴剤をつくろう

石川雄一 先生・信岡かおる 先生(大分大工)

“ある”と“ない”とでは大違い!いつものお風呂がもっと楽しくなる『入浴剤』を、自分たちでつくります。
シュワ~ッと出る泡の正体は二酸化炭素のガス。まずは、炭酸水素ナトリウム・フマル酸・硫酸ナトリウムを、粒が細かくなるようにすりつぶします。好きな色と香りをつけたら、お菓子の型に入れて固まるまで待ちましょう♪
「生活に密着した科学と触れ合うことで、“身近な科学”、“科学のおもしろさ”を知ってもらいたい」と石川先生。口に入れても害のない材料だから、先生もお父さんお母さんたちも安心です。
「今日のお風呂に入れていい?」と、お父さんにお願いする様子を見ると、上手につくれたみたいです。

入浴剤の泡の正体は二酸化炭素(炭酸ガス)。泡の出る入浴剤が自分でつくれるなんて!子供たちだけでなく、お母さんたちも驚いています。

これは何のために入れるの?
「ナゼ?」という疑問には、学生のみなさんが丁寧に説明してくれました。

香りはブルーベリーで、色は何色にしようかなぁ?
「色を付けすぎると、湯船に色が付いちゃいます!」という先生の言葉に、色選びも慎重になります。

本当は“虹色”が良かったけど、今日はしょうがない。
いつの間にか、指もきれいなピンク色です!

人工なめくじをつくろう ~塩で退治しよう~

濱中良志 先生(大分大医)

塩をかけると、みるみる縮んでいく『なめくじ』。でも、どうして縮んでしまうのでしょう?
小さな物質だけは自由に通り抜けることができる『透析膜』(人工なめくじの皮)の中に、AかBの液体を入れたら、塩をかけてなめくじが縮んでいく様子を観察します。AとB、どちらが“なめくじの素”だったのでしょうか?
“浸透圧”という、液体の濃さ(濃度)の違いで生まれる力を、人工のなめくじをつくって体験です!
実験の間には、いろいろな“圧力”を使った濱中先生のマジックショーがありました。逆さにしてもコップの水がこぼれなかったり、コップの中の水の量がどんどん増えていったりと、子供たちはサイエンスの不思議とおもしろさをたくさん体験できました。

完璧ななめくじをつくるには、"なめくじの皮”の端っこを、しっかり縛らなければいけません。
ぬるぬるするし、小さいし、なかなか力が入らない様子。

なめくじの皮が準備できたら、“なめくじの素”を入れて、もう片方の端っこもきつく縛ります。
「ぼくが入れた液体は、なめくじの素かなぁ?」

人工なめくじを塩で退治だ!
でも、なめくじが縮む理由と、お風呂で指先がしわしわになる理由が一緒?!
「えぇ~っ!」という驚きの声が一斉にあがりました。

濱中先生のマジックショー
ろうそくの火が消えると、コップの中の水がどんどん増える。
“大気圧”の不思議を前に、食い入るように見つめます!

ブロッコリーからDNAを取り出してみよう

酒井謙二 先生(大分大工)

みんなも持っている命の設計図『DNA』。おうちにある道具をつかってブロッコリーから『DNA』をとりだして見てみましょう!
まずは、ブロッコリーを細かく切ってすりつぶします。 そこに、食塩と台所用洗剤を混ぜた抽出液を入れ、かき混ぜて10分くらい待ちます。できた材料を茶こしでこして、そこにアルコールをそぉ~っと加えます。シーソーをするようにびんを上下に慎重に揺らすと「あら、びっくり!!」,白い糸くずのようなものが見えてきます。「それが『DNA』なんだよ」という先生の言葉に「へぇ~~!!」と子供達。生まれて初めて見た『DNA』にびっくりしている様子でした。

一房ほどのブロッコリーを果物ナイフを使って細かくカットします。「あっ、ブロッコリーくさいっ!」

よくすりつぶしたブロッコリーと抽出液を加えた材料を茶こしでこします。

反応待ち時間を利用して、先生が玉ねぎをうすく切ったものを顕微鏡で見せてくれました。「どんなふうに見えるの~?見せて見せて~」とみんな興味津々です。

「白い糸くずみたいなものが見えるね~」「これがDNAっていうんだよ♪」初めてみたDNAにびっくり!でした。

化粧品をつくろう

天尾豊 先生(大分大工)・定金香理 先生(大分看護大)

簡単に手に入る材料で『化粧水』と『美肌水』をつくります。
プラスチック瓶にグリセリンとエタノールを入れてよく混ぜ、クエン酸とほう酸を入れて振り混ぜます。そこに自分のお気に入りの香りのする香料で香り付けをし、水をいれて混ぜれば自分だけのオリジナル『化粧水』の出来上がりです。
『美肌水』は、肌をしっとりさせる効果のある尿素が入ったもの。尿素を量りとり、水を入れてよく振り混ぜたものにグリセリンを少々加えます。そこにお気に入りの香りをつければ出来上がり♪ みんな出来上がった『化粧水』や『美肌水』を顔や手にぬって、しっとり具合やにおいをチェックしていました。

女の子の参加者が多かったこの実験。先生の説明をお母さん方も真剣に聞き入っていました。

「ぴったり量るのって難しい・・・」でも大丈夫、上手く操作出来てましたよ~♪

こぼさないように量り取った材料を瓶にそぉっと移します。

量り取った材料に水を目安の線まで慎重に加えて・・・お母さんも心配そうに見守っています。これで混ぜれば『オリジナル化粧水』の完成です!

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。