小さな微生物の大きなチカラ

令和元年8月9日と11日に沼津工業高等専門学校にて公開講座「パン作りを科学する」と「ため池の水の中の生き物」が開催されました。小学校高学年から中学生を対象とした本講座では、自然を詳細に観察し、その中から新たな科学的発見を促し、加えて、観察で生じた疑問について学ぶ機会を与えることを目的としており、保護者の方も含め28名の参加がありました。その様子をレポートにまとめました。

パン作りを科学する

事前にヨーグルト（明治乳業 R1）中の乳酸菌と納豆（オカメ納豆）中の納豆菌をスライドガラス上にアルコール固定した上でグラム染色（Gram Stain Kit 品番：BBS-2，コスモ・バイオ株式会社提供）をしておきました。この試料を生物顕微鏡（油浸）により 1000 倍にて観察（スケッチ）しました。

乳酸菌（油浸，1000 倍）⁽¹⁾

納豆菌（油浸，1000 倍）⁽¹⁾

発酵食品の顕微鏡観察1

発酵食品の顕微鏡観察2

(1):撮影画像の“明るさ”を40％増加させた写真

小麦後（強力粉）、砂糖、塩、バター、ドライイースト、水を原料として小麦粉のでん粉を風船状に膨張させ（一次・二次発酵）、それを焼成してパンを作製しました。

実験風景（パン作り）1

実験風景（パン作り）2

製造過程で微生物の機能（アルコール発酵）を理解するために、一次発酵で得られた生地にイオン交換水を添加し，充分懸濁させた上で糖質（グルコース）とアルコールを Glucose Assay Kit 品番：STA-680 と Alcohol Assay Kit 品番：STA-620（共にコスモ・バイオ株式会社提供）を用いて検出しました。
また、アルコール発酵で発生した二酸化炭素は生地の膨張、微生物は生物顕微鏡で観察することで確認しました。パンの製造と完成、そして芳香を楽しむことを通して、私たちの食生活に貢献する微生物の驚異の能力を体験的に学びました。最後に受講生に修了書を授与し、講座は終了となりました。

一次発酵生地中のグルコース濃度測定結果

一次発酵生地中のアルコール濃度測定結果

焼き上がったパン

修了書授与の様子

門池環境調査隊！2019 門池の水の中の生き物

門池内の指定した調査場所の採水を行なう予定でしたが、連日の猛暑により熱中症が心配されたため、主催者側で事前に調査個所での採水を行いました。
門池に流入する小川の水辺生物をタモ（ランディングネット）を用いて捕獲し、事前に仕掛けた網かごを引き上げ、水辺生物を採集しました。また、地元の釣り愛好会の方々に池で釣れたばかりの魚をその場で見せていただく機会にも恵まれました。

調査風景（門池で生物の採取）1

調査風景（門池で生物の採取）2

主催者側が事前に採取した試料水について水質調査を行いました。

調査風景（水質調査）1

調査風景（水質調査）2

午前中に採集した水辺の生物について観察を行いました。門池に流入する小川で採集した生物を丸い水槽に入れて観察し、図鑑を使用してその生物の名前などを調べました。

調査風景（生物の観察）1

調査風景（生物の観察）2

主催者側が事前に採取した試料水中のプランクトンの観察を生物顕微鏡を用いて行いました。この観察を通し、水辺の生物の食物連鎖について考えました。
最後に受講生に修了書を授与し、講座は終了となりました。

調査風景（プランクトンの観察)

顕微鏡で観察したプランクトンの一例

公開講座でご使用いただいた商品をご紹介します。

• パンをこねて作るのが、楽しかった。先生たちがやさしかった。
• 顕微鏡を使うことから、観察、パンを作ることまで色んな事が体験できてとてもたのしかったです。 家では自家製酵母を作ってパンを焼いていますが、なぜパンが膨らむのかなど分かっていい経験になりました。 皆で作って食べてとても美味しかったです。
• とても楽しい企画だったのでこれてよかったです。１つ１つ分からないことを教えてくれたのでよかったです。 私はここに入学したいです。
• 先生方、学生のお兄さんお姉さん方が、多くの人数で一人一人に対して丁寧に指導して下さるのがとても心強く魅力的な講座でした。楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
• 昨年に続いてすばらしい講座を開いてくださりありがとうございました。微生物の観察など、自由研究に生かしていきたいです。ありがとうございました。先輩もやさしかったです。
• 公園はよく利用しましたが、池そのものにはふれることがなかったのでよい機会となりました。また先生、学生の方も休日の対応をしていただきありがとうございました。