サステナビリティ

植物バイオから広がる科学の不思議な世界

2015年度 第12回 公開講座応援団

福岡教育大学 公開講座レポート

2015年8月~2015年11月にかけて、出張講座を含む計4回の公開講座が開設されました。4回の講座あわせて、約5,200 名と多くの方に参加していただくことができました。子どもから一般の方までを対象とした本講座は毎年、大変評判が良く、今後も継続が望まれています。今回は、私たちの生活に最も身近な植物に焦点を当て、広く科学に関する実験や観察を行いました。子どもたちのおどろく様や、親子で実験を楽しむ姿が印象的な、各イベントの様子をご紹介いたします。

講座内容

2015年11月15日(日) 福岡教育大学 自然科学教棟にて

植物バイオから広がる科学の不思議な世界

くだものの香りを作ろう

酢酸とn-アミルアルコールまたはイソアミルアルコールから、それぞれ洋梨の香りとバナナの香りのエステルを合成しました。子ども達は匂いをかいで、反応前と反応後の変化にびっくり!していました。
今年は、松茸の香りの成分である1-オクテン-3-オール(マツタケオール)の匂いを嗅ぐ展示も行われました。天然のマツタケの香りには、キノコの良い香りがするR 体が約90%、土臭い匂いのS 体が約10%含まれています。参加者は、わずかな構造の違いで匂いが変わることに驚いていました。

水をはじく葉っぱのしくみ

蓮の葉の表面微細構造を再現したアルミテープを使って、水のはっ水作用を調べました。子どもたちはびっくり、大人もその仕組みに感心していました。

水の不思議な性質を調べよう

水の表面張力と大気圧を組み合わせて、コップに水を満たしたものを網の上に乗せて逆さまにしても水がこぼれな いという実験を行いました。できることは知っているけど、初めてやってみたという親子が多く、みんな驚いていました。

植物体(ブロッコリー)からDNA をとりだそう

DNAって何か知ってる?
DNAについての説明から始まり、DNA抽出液やエタノールのにおいをかいだりしなから実験を行い、子どもたちは全員DNAを抽出することができました。

スライムを作ってみよう

スライムを作る過程の物質の変化に興味をもつ子どもが多く、大盛況でした。
「昨日も学校でスライムを作ったけど、また作りにきたよ。」
「小学校のスライムは、最初から色が混ぜてあって、好きな色を選べなかったけど、大学のスライムは、作る時に好きな色を選べるから良かった!」

メダカのオス・メス、兄弟間の形態の違いを見つけよう

メダカのオス・メスの見分け方は、小学校で学習しますが、まだ学習していない小学生や、忘れている小学生も多く、壁に貼った見分け方のポイントを描いたイラストを見ながら、興味深く観察していました。

2015年8月8日(土) 福岡県宗像市 宗像ユリックス(イベントホール)への出張講座

「世界一行きたい科学広場 in 宗像 2015」

蛍光物質のふしぎ

段ボール箱の中にはブラックライトを入れているので、蛍光物質が鮮やかに光ります。蛍光ペン以外にも、封筒、宝くじなど,身の回りのいろいろな蛍光物質の光り方を調べました。特殊な蛍光ペンで描いた絵は、普通は何も見えませんが、ブラックライトの下で見ると鮮やかに光り、子ども達から歓声が上っていました。

ビタミンC のパワーで色を消してみよう

ヨウ素デンプン反応で青紫色にした溶液にビタミンCを入れると色が消える実験をしました。なお、この液にはあらかじめオキシドールが入っているので、消えた後にしばらく待つと、還元されていたヨウ化物イオンが酸化されて再びヨウ素にもどり、青紫色が復活します。手品のような化学実験に、子ども達は驚いていました。

虫のロボット

振動で動く虫のロボット(おもちゃ)で遊ぶコーナーです。走る様子がゴキブリに似ていることもあり、「気持ち悪い!」「面白い!」との歓声を上げながら、小さな子ども達から大人まで遊んでいました。また、瓶の中に入れたロボット(蝶)の動きが本物そっくりで、見た人たちはびっくりしていました。

2015年8月28日(金) 福岡県宗像市 岬地区コミュニティへの出張講座

「子ども科学実験教室」

パセリから色素を取り出そう

パセリから色素(光合成色素)を取り出す実験では、光合成色素を抽出した後、ろ紙の折り方からろ過まで、二人一組で協力して実験を行いました。抽出液を用いて、薄層クロマトグラフィーによる光合成色素・サインペンの分離とブラックライト照射下で色の変化を見る実験を行いました。

ハーブティーを使った色が変わる実験

市販のマローブルー(乾燥した花)から水で色素を抽出し、うすい水酸化ナトリウム水溶液を加えて弱アルカリ性にしました。その後、砕いたドライアイスを入れて、「アルカリ性」→「中性」→「酸性」と変化すると色がどうなるかを観察しました。6年生の子どもは小学校の理科の授業で紫キャベツを用いた色の変化を知っていましたが、緑→紫→ピンクと変化する様子に歓声を上げていました。

2015年10月31日(土) 福岡県宗像市立自由ヶ丘南小学校への出張講座

南小にじいろフェスタにおける講座 ~小学生のための科学実験~

水の不思議な性質を調べよう

撥水作用を調べる実験では、たくさんの親子が実験に参加しました。水を垂らすために駒込ピペットを使い、ガラス器具の扱い方も学びました。水を入れたコップを網の上で逆さまにしてもこぼれない実験では、子ども達が積極的に挑戦していました。

色のついた影を出してみよう

色のついた影を作る実験は、赤・緑・青の光を斜めから当てておくと、一つの光を遮った残りの光が色のついた影として見える実験です。例えば、赤と青の光を斜めから当てると、光が重なったところはマゼンタになりますが、その少し上に指をおくと、赤の光を遮った影は青になり、青の光を遮った影は赤になります。少し難しい実験ですが、保護者と子どもで考えながら実験していました。

主催者報告

本年度の全国学力・学習状況調査結果では、子ども達の実験・観察の技能に課題が見られます(例えば、メスシリンダーの使い方など)。これは、学校教育現場で実験・観察の機会が未だ充分でないことを反映しているものと分析されます。それだけに、本事業をもっと広範囲で実施するとともに、得られた成果についても、教員研修などの場を利用して広範囲に普及する必要があると考えています。

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。