サステナビリティ

遺伝子と仲良くなろう

2013年度 第10回 公開講座応援団

熊本大学 生命資源研究・支援センター 公開講座レポート

2014年2月8日~9日の2日間、熊本大学 生命資源研究・支援センターにて、中学生以上の一般市民を対象とした公開講座「遺伝子と仲良くなろう」が開催されました。本講座では、DNAや遺伝子への理解と興味を深めて頂くこと、また将来研究者を目指す人材の育成に寄与することを目的としております。
今回集まった25名の受講者は、どのような体験をし、どういった感想を持たれたのでしょうか?その様子をレポートにまとめました。

講座内容

プログラム 1日目

<午前>

講義「遺伝子と仲良くなろう!」(荒木 正健 先生)

DNA、遺伝子、ゲノムなど、テレビや新聞で話題になることが多い言葉について、詳しい説明を受けました。特に、遺伝子の情報からタンパク質が作られる仕組みは、練習問題を解きながら解説をしてもらいました。

実習「DNAを見てみよう!」

まず、「エタノール沈殿」という実験で、DNAを肉眼で観察します。次に、1マイクロリットル(1µl、1リットルの100万分の1)の量でも簡単に量りとれるマイクロピペットという道具を使って、µl単位の世界を体験します。さらにDNAを大きさで分けることのできる「電気泳動」という実験を行います。蛍光色素で可視化したDNAのバンドは、昼食後の講義で観察です。

<午後>

講義「遺伝子組換え生物ってな~に?」(荒木 正健 先生)

「遺伝子組換え作物は使用していません」という表示はよく目にしますが、そもそも、遺伝子組換え技術は必要なの?いったい何のためにあるの?ヒトB型肝炎ウィルスに対するワクチン開発の話を例に、遺伝子組換え技術を判りやすく説明していただきました。また、遺伝子組換え生物に関する法律についても学びました。

実習「遺伝子組換えで光る大腸菌を作ろう!」

本来、光らない大腸菌ですが、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を使って、大腸菌に『光る』という形質を持たせます。本実習ではGFP遺伝子を含むプラスミドDNAを大腸菌に導入し、大腸菌を寒天培地に拡げるまでの工程を行いました。また、光る大腸菌を使って、寒天培地に絵を描きました。一晩培養して、明日観察します。描いた絵がどんな風に見えるのか楽しみです。

プログラム 2日目

<午前>

実習「光る大腸菌を観察しよう!」

昨日より37℃で一晩培養していた大腸菌の観察です!!
培地への抗生物質添加の有無、プラスミド導入の有無などにより、大腸菌が増えるのかどうか、ブラックライトを当てた時にどう見えるのか、検討します。

<午後>

見学「研究室ってどういうところ?」

P2レベルの遺伝子組換え実験室やシーケンサー、超遠心機、蛍光顕微鏡などの設備機器を見学するとともに、先生方の行っている研究内容についての説明も受けました。大学の研究室の雰囲気をじっくり味わうことができ、とても貴重な時間となりました。

講義「生命科学の未来について考える」(要 匡 先生)

iPS細胞(人工多能性幹細胞)など、最新の話題について詳しく知ることができました。幹細胞と細胞初期化、遺伝子解析・解読、生命科学の今後など、生命科学が私たちにもたらす未来についてみんなで一緒に考えました。

参加者の感想

  • 複雑で難しい話がたくさんあったけれど、遺伝子について今まで全く知らなかったことを学ぶことができたり、面白い実験をすることができて、楽しかったです。とても貴重な2日間でした。(中学生)
  • 正直今までDNAや遺伝子に全く興味がなく、考えたこともなかったし、参加する直前まで何の知識もありませんでしたが、たくさんの実習をして先生方のとても分かりやすい講義、お話を聞けてとても楽しかったです。また、これから先入ることもないかもしれない建物内の研究室にも案内して頂き、本当に貴重な体験ができました。(中学生)
  • 様々な実習や講義を通して、遺伝子と仲良くなることができたと思います。このような機会を与えていただきありがとうございました。(中学生)
  • 知らなかったことが知ることができてよかったです。2日間とても楽しかったです。(高校生)
  • 今まで実験をここまで詳しくやったことが無く、専門的な器具も使ったことが無かったため、よい経験になった。将来、研究に携わる事がしてみたいと思い興味が湧いた。(高校生)
  • 実験が多く、実際に体験しながら学べたので分かりやすかった。実際に遺伝子を持ち帰ることができてビックリした!(高校生)
  • 既に学校で学んだ分野だったのである程度の知識はあったが、普段は使えないような器具を使って実際に自分で実験をすることによって更に理解を深めることができた。また、色々な講義を聞いて、研究職にとても興味がわいた。(高校生)
  • 実習を交えた体験型のセミナーでとても楽しかったです。全く異なる着眼点を持つ中高生と一緒に学ぶことができ、よい体験になりました。(社会人)

主催者報告

十分な成果を上げることができました。後日、参加者(中学生)の先生よりメールを頂きました。そこには、それぞれの生徒が充実した実習であったことを喜んでいたこと、また、「今後の理科の学習意欲の向上やキャリア教育の促進が図れたと思います」と書かれていました。主催者として本当にうれしく思います。また別に、2人の中学生からも感謝のメールが届き、逆にこちらが感激しました。今後もこの活動を続けていこうと思います。

終わりに

とても充実した2日間であり、参加者のDNAや遺伝子への理解と興味はより深まったと思います。また、参加者の感想にて、実際に本講座を受講し、研究職に興味を持たれた方がいると知り、嬉しい限りです。
これからも、コスモ・バイオ(株)で、「未来の科学者」育成のためのお手伝いができれば光栄です。

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。