サステナビリティ

遺伝子と仲良くなろう

2012年度 第9回 公開講座応援団

熊本大学 生命資源研究・支援センター 公開講座レポート

2013年2月9日~10日の2日間、熊本大学 生命資源研究・支援センターにて、中学生以上の一般市民を対象とした公開講座「遺伝子と仲良くなろう」が開催されました。中高生をはじめ、幅広い年代の社会人の皆さんが集まりました。本講座では、大学の研究室で実験を体験してもらうことで、遺伝子への理解と興味を深めて頂くことを目的としております。参加した皆さんはこの受講をきっかけに「遺伝子の世界って面白い!!」とさらなる興味が持てたのでしょうか?その様子を公開講座レポートにまとめました。

講座内容

プログラム 1日目

<午前>

講義「遺伝子と仲良くなろう!」(荒木 正健 先生)

DNA、遺伝子、ゲノムなど、テレビや新聞で話題になることが多い言葉について、先生が易しく解説をしてくれました。また、講義のなかで「DNAのエタノール沈殿」を行い、実際のDNAを肉眼で見ることができました。

<午後>

講義「遺伝子組換え生物ってな~に?」(荒木 正健 先生)

「遺伝子組換え作物は使用していません」という表示はよく目にしますが、そもそも、遺伝子組換え技術は必要なの?一体何のためにあるの?先生がわかりやすく説明してくれました。遺伝子組換え生物の法律についても大変勉強になりました。

実習「遺伝子組換えで光る大腸菌を作ろう!」

本来は光らない大腸菌・・・ですが、今回、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を使って、大腸菌に『光る』という形質を持たせてみます。
まずプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌を寒天培地に広げていきます。今回は光る大腸菌ということもあり、みんな好きな絵や文字を描きました。一晩培養して明日観察します。どんな風に見えるのか楽しみですね。

プログラム 2日目

<午前>

実習「光る大腸菌を観察しよう!」

これが光る大腸菌の様子です↓↓

大腸菌の形質転換はどのグループも大成功でした!!

実習「マイクロピペット体験」

分子生物学の分野では微量の試薬やDNA溶液を使って実験します。そんな時、必須となってくるのがマイクロピペット。これを使えば、1マイクロリットル(1μl、1Lの100万分の1)の量が簡単にはかり取れます。実際にマイクロピペットを使って、μl単位の世界が体験できました。

講義「光るマウスを観察しよう!」(荒木 喜美 先生)

昨日は大腸菌を光らせるために使用したオワンクラゲのGFP遺伝子は、なんと、、マウスでも同じように働くって・・・、ホント!?実際に光るマウスを見せてもらいながら、なぜ光るマウスが必要なのか、どのような研究に使用されているか先生に説明いただきました。また、遺伝子の働きを調べるために、その遺伝子を過剰に働かせるマウス(トランスジェニックマウス)と、その遺伝子を破壊したマウス(ノックアウトマウス)が活躍していることを知りました。

<午後>

講義「iPS細胞ってな~に?」(要 匡 先生)

京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞で2012年度のノーベル医学・生理学賞を受賞され、ニュースでもたくさん報道されている話題なので、皆さんiPS細胞に興味津々です。。真剣に先生の話を聞いていました。iPS細胞ってどういう細胞なの?何ができるの?問題点はないの?知りたかったことがたくさん聞けたので皆さん大満足の様子でした。

参加者の感想

  • キメラマウスをつくりだすのはとても時間がかかることにびっくりしました。(高校1年・男性)
  • 小中高と実験が苦手・苦痛だったのですが、実験の楽しさを味あうことができて幸せでした。iPS細胞のことも直接聞きたかったので良かったです。(50代主婦・女性)
  • 普通体験できない事を味わえたので、とても貴重な経験ができたと思います。特に気になっていたiPS細胞について聞けたので良かったです。(高校2年・女性)
  • 生物の構造はすごく難しく、それを人が手を加えて何かするというのは更に難しくて複雑でした。でも、それで前よりもっと遺伝についてもですが、生命にも興味をもったので、良い経験になりました。(高校2年・女性)
  • ニュースや新聞等にめったに出てこない専門的なものや普通使わない、見ない実験、機械の事も知れてとても楽しかったし、また興味がとても大きくなった講演でした。(高校1年・男性)
  • 大学の研究の専門分野のものを知ることができ、これからの進路におおいに影響を与えるようなものになり、とてもいい経験になりました。(高校1年・男性)
  • 実際に光るマウスやマウスのDNAを見ることができてよかったです。遺伝子というものを身近に感じるようになりました。また参加したいです。(中学3年・女性)
  • 遺伝子っておもしろいと思ったし、難しいけど、いつか理解できて自分でも調べられるようになりたいと思った。(中学2年・女性)
  • 今後の再生医療の成果を自分が受けられたら嬉しい。(60代無職・男性)

主催者報告

皆さんとても元気で、積極的に講義及び実習に参加され、中学生や高校生との会話も弾み、昨年同様非常に盛り上がった2日間となりました。フリーディスカッションのコメントで、また参加したいと言われている方が多く、主催者としては嬉しい限りです。

終わりに

難しい遺伝子の世界を分かり易い講座や実習で伝えることで、参加した誰もが「楽しい!」と思えるような実り多い2日間となりましたね。特に、これから科学について学ばれる中高生にとっては、この講座が「遺伝子」に興味を持つきっかけになったことと思います。
コスモ・バイオ(株)では今後も、「未来の科学者」育成のためのお手伝いができれば光栄です。

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。