サステナビリティ

植物バイオから広がる科学の不思議な世界

2016年度 第13回 公開講座応援団

福岡教育大学 公開講座レポート

2016年7月~2016年11月にかけて、出張講座を含む計3回の公開講座が開設されました。3回の講座あわせて約 5,722 名と多くの方に参加していただくことができました。子どもから一般の方までを対象とした本講座は毎年、大変評判が良く、今後も継続が望まれています。今回は、福岡県青少年科学館(福岡県久留米市)との連携による遠方での実施を初めて行いました。子どもたちのおどろく様や、親子で実験を楽しむ姿が印象的な、各イベントの様子をご紹介いたします。

講座内容

2016年11月13日(日) 福岡教育大学 自然科学教棟にて

植物バイオから広がる科学の不思議な世界

マツタケの香りのひみつ

天然のマツタケの香りには鏡像異性体の混合物として、R体が約90%、S体が約10%含まれています。昨年度実施した際に、R体はキノコ特有の良い香りがするのに対して、S体は土臭い匂いがすることは、特に大人に好評でした。そこで今回は、分子模型として球棒モデルに加えて3Dプリンターで作成した空間充填モデルの展示も行いました。参加者はわずかな構造の違いが匂いの構造として感じられることに驚いていました。

空を飛ぶ種の模型づくり

グライダーのヒントになった「アルソミトラ」とクルクル回りながら落ちる「フタバガキ」の種の模型づくりを行いました。小さな子どもに人気のコーナーで、親子で楽しく作る様子が見られました。

ハーブティーを使ってびっくり!色が変わる実験

市販のハーブティー(マローブルー)の抽出液を使って、溶液の液性によって色が変化する様子を観察しました。抽出液は中性では紫色ですが、これにうすい水酸化ナトリウム水溶液を加えて緑色にした後、ドライアイスのかけらを入れると、ドライアイスが溶けて酸性になるにつれて、緑→紫→黄緑→ピンクの色の変化を観察できます。子ども達は鮮やかに色が変わることに驚いていましたが、ドライアイスを入れて煙が出ているように見える様子にも関心をもっていました。

植物の色素を分けてみよう

パセリの抽出液を使って、薄層クロマトグラフィーによって光合成色素を分離する実験を行いました。

植物体(ブロッコリー)からDNAをとりだそう

「DNAって何か知ってる?」の問いかけからはじまり、子ども達は全員DNAを抽出することができました。保護者の方からは、「自由研究にDNA抽出をやりたいんだけど、家でも簡単にできますか?」という質問が複数寄せられ、関心度の高さが伺われました。

スライムを作ってみよう

子ども達は上手にスライムを作ることができ、その感触を楽しんでいました。スライムを作る過程の物質の変化に興味を持った子どもが多く見受けられ、大盛況でした。

光が植物の芽生えに及ぼす影響を観察しよう

イベントの1週間前に明所と暗所で吸水・発芽させたキュウリの芽生えを展示しておき、見比べると、同じ植物でも、光の有無で形態が全く異なります。長く伸びている方が、暗所で育てた芽生えですが、そちらの方が長いため、そちらを、明所で育てた芽生えだと思っていた小学生・保護者が多く見られました。多くの来場者が、立ち止まって興味深く見入っていました。

メダカのオス・メス、兄弟間の形態の違いを見つけよう

同じ親から生まれたメダカのオス・メスのペアを入れた1L容器を複数個用意し、オスとメスの違いを観察したり、容器の中で、尾ビレの形が金魚のように広がった変種のペアを探して当ててもらいました。展示されたメダカには、小学生だけでなく、保護者も大変興味を示し、食い入るように観察をしていたのが印象的でした。

2016年7月23日(土) 福岡県久留米市 福岡県青少年科学館への出張講座

光と色の科学実験・工作教室

色と光の三原色を調べてみよう!

色の三原色を確かめる実験として、デジタル画像をシアン、マゼンタ、イエローの三色に分離し、それぞれOHPシートに印刷したものを重ねることで、もとのカラー写真の画像になることを調べる実験を行いました。切って重ねるだけの単純な実験ですが、参加者はシアン、マゼンタ、イエローの3色だけで様々な色が作り出せることに驚いていました。

蛍光とは?身の回りの蛍光物質を調べてみよう!

ブラックライトを用いて身の回りの様々な蛍光物質の発光を観察したり、夜店でも馴染みのある発光スティックを光らせる実験を行ったりしました。ブラックライトの下では発光する特殊な蛍光ペンで書いたものが鮮やかに光る様子に、子ども達は歓声をあげていました。

2016年8月11日(木) 福岡県宗像市 宗像ユリックス(イベントホール)への出張講座

世界一行きたい科学広場 in 宗像 2016

マジックミラーとミラクルミラー

マジックミラーは、放物線ミラーの原理により、本当はそこにないものが実際にあるように見えます。参加者は触ろうとしても触れない不思議さを体感していました。一方、ミラクルミラーは手を入れると飛び出して見えるので、驚きながら手を入れていました。

磁石で遊ぼう

磁力とジャイロ効果を組み合わせて空中で回るコマの演示をしました。これには、子どもだけでなく、大人もびっくりして、むしろ大人からの質問が多くありました。強い磁力の中でコマを回すのは簡単ではないものの、子どもたちは自分で回したいと頑張っていました。

水をはじく葉っぱのしくみ

蓮の葉にたまった水は、葉を濡らすことがなく、コロコロと葉の上を転がりますが、この仕組みがヨーグルトの蓋などに応用されています。これを開発した会社から市販されている撥水テープと普通のテープの上に水を落とし、水玉の転がり具合を比べる実験を行いました。テープの上をコロコロと転がる様子を楽しんでいました。

動く絵を観てみよう

見る角度によって少し違う見え方をする絵を動かすと、絵が動いているように見えます。単純な仕組みであるものの、小さな子ども達には人気で、色々な絵を動かしながら、興味深く眺めていました。

色が付いた影を作ってみよう

2つ以上の異なる色の光を斜めから当てておき、その中に手を入れると、色の付いた影を作ることができます。光の三原色である、赤・緑・青の光を斜め上から当てておき、その下に手を置くことで、シアン・マゼンタ・イエローの影を作ることを確認してもらいました。

使用商品

公開講座でご使用いただいた商品をご紹介します。

アイスオン
サンプルチューブ冷却用のアルミ製チューブラックです。

主催者報告

本年度は、大学での講座を1回、出張型の講座を2回行い、合計で約 5,722 名と多くの方に参加して頂くことができました。大学で行う講座に加えて、教育機関・行政・企業が連携した大型科学イベントや、科学館で行う比較的小規模な講座など、いろいろな形態で実施しました。これらの講座を通して、幼児から小中学生、保護者・一般の方まで、幅広い年齢層に対して科学への興味・関心を高めてもらうことができたことは大きな成果と言えます。特に、今回は遠方の科学館(久留米市の福岡県青少年科学館)で初めて実施したことで、その成果を広げることもできました。

なお、これまでの実施で課題であった中高生や教員を対象とした講座については、本年度は予算の関係で実施できませんでしたが、今後、中高生のみを対象とした講座や、教育委員会や教育センターが行う講座との連携による実施が望まれます。

私たちコスモ・バイオは、「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」ことを第一の経営理念に掲げ、皆様に信頼される企業づくりを目指しています。この理念に基づき、今回のような、大学等が実施する公開講座の支援を通して、次の世代を担う“明日の科学者”にライフサイエンスの面白さと楽しさを伝えるお手伝いをします。